録画内容:
令和3年第1回定例会
令和3年2月18日 (本会議)
代表質問 福島 宏子(共産党議員団)
1 核兵器禁止条約の発効について
  2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効され、核兵器は歴史上はじめて違法化された。第1条では核兵器に関わるあらゆる活動、例えば開発、実験、所有、領域内への配備の許可などを禁止し抜け穴を許さないものになっている。使用の威嚇を禁止されたことは核兵器を保有する最大の口実となっている核抑止力論を否定する重要な意義がある。
  日本が核兵器禁止条約の参加に踏み出せば、国際社会の称賛を受け高い道義的地位と信頼を得ることになる。
  ア 港区として日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求めること。
  イ その他
2 臨海部におけるカジノ誘致に反対することについて
  東京都は2021年度予算案に、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)誘致の調査費1,000万円を計上。
  カジノは刑法が禁止しているギャンブル・賭博。カジノ、ギャンブルは負けた人のお金をもうけの原資としており、人の不幸の上に成り立つもの。ギャンブル依存症による本人や家族の苦しみ、マネーロンダリングのおそれ、治安悪化などの懸念は、対策を取ればいいというものではない。 
  住民福祉の増進が使命である地方自治体は、カジノに手を出すべきではない。
  ア 東京都にカジノ誘致はしないように申し入れること。
  イ その他
3 羽田新飛行経路の運用中止を国に求めることについて
  昨年の2月に初めて試験飛行が行われて1年が経過した。保育園の子どもたちは、「空から鬼が来た」と泣きだした。
  港区基本計画、港区環境基本計画の各素案に対する区民意見でも多くの区民が中止要請を求めている。国に対する港区の姿勢が問われている。
  羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会がこれまでに2回開催されたが、固定化回避については触れられていない。国土交通省のパンフレットは事実と異なり区民の声は全く無視され続けている。
  ア 羽田新飛行経路の運用中止をキッパリと国に求めること。
  イ その他
4 ゼロカーボンシティ宣言について
  昨年12月4日、ゼロカーボンシティ宣言に関する請願が採択された。
  港区環境基本計画(素案)に寄せられた区民意見では、多くの方がこの問題に関心を持っていることが分かる。
  環境大臣がゼロカーボンシティ宣言を自治体に求めた。東京都は宣言しているが23区では世田谷区、葛飾区の2区のみ。
  ア 23区で最もCO₂の排出量が多い港区だからこそ今すぐゼロカーボンシティ宣言を高らかに発信し、やる気と覚悟を内外に示すべき。
  イ その他
5 解体工事における住民説明の徹底とアスベスト対策の強化について
  先日、「解体工事の貼り紙があるが説明に来ない。アスベストがある。」と相談があり、担当課に問い合わせた。「届出は出ている。アスベストはレベル3、1月7日に区は現地調査をした。問題ない。」との回答。
  ところが工事着工日前日、住民から「アスベストがレベル1と貼り紙がしてあるが本当なのか。なぜ説明がないのか。」と連絡があり、再度問い合わせると再調査でレベル1が検出されたという。区が行った1月7日の現地調査の際、石綿が吹付けられている疑いがあるために再調査を命じた経緯があった。区が命じた再調査によりレベル1が検出されたことは区の調査が厳しく行われていると高く評価できる。しかし近隣住民はアスベストがレベル3からレベル1になぜ急に変わったのか分からない。説明もなく貼り紙だけで不安と不信感が募っている。
  港区建築物の解体工事等の事前周知等に関する要綱には、解体工事により周辺の生活環境に及ぼす著しい影響及びその対策を、近隣関係住民等に説明を求められた場合は誠実に対応しなければならない旨が明記され、石綿がある場合は、使用状況、工期、作業計画、作業方法等を加えて説明する必要がある。今回住民からの訴えで解体前の説明が全く行われていないことが判明した。
  区は要綱に基づき近隣住民が不安になることなく日常の生活が送れるように事業者を指導する責任がある。住民や作業員の命に関わること。
  また、大気汚染防止法の一部を改正する法律が2020年5月29日に可決・成立した。環境省は、レベル3建材については、いわゆる手はがしかそれが困難な場合は湿潤化を行えば飛散性が低いとして飛散防止措置を義務付けていない。
  厚生労働省の石綿ばく露防止対策等検討委員会ワーキンググループでレベル3建材も粉じんが飛散している実態が示されている。「本来なら隔離が必要だ」「養生して集じん排気装置を使用すべき」という意見が出ている。
  ア 解体についての説明会を義務付け、事業者への指導を厳しく行うこと。
  イ 港区としてレベル3を含むすべての石綿含有建材もレベル1やレベル2と同様の解体方法、届出を義務化すること。
  ウ 事前調査については区が厳密に実施できる体制の強化が必要。人員増や専門家の配置も含めた体制強化をすること。
  エ その他
6 私立認可保育園の指導検査について
  区内の私立認可保育園68園中、株式会社が運営する園は55園。
  保育所に支払われる運営費は委託費と呼ばれ、人件費が8割、事業費(保育材料や給食など)が1割、管理費(福利厚生や業務委託など)が1割で見積もられている。しかし、委託費の弾力運用という制度によって、人件費が他の目的に流用されることが可能になっている。
  株式会社の運営する保育園の中には、運営費の人件費を50%以下に抑えている所もある。
  人件費を過度に抑えている保育園に対して、厚生労働省は「本来の使途である職員人件費や事業費などが恣意的に削減されることがないよう申し付ける」と通知するなど、同問題の対処に取り組んでいる。人件費を低く抑えた結果、保育士が定着しないなど職場環境の悪化の原因となり、保育の質の低下につながる。
  現在、東京都福祉保健局が行っている訪問指導検査は、来年度から港区が責任を負うことになる。
  ア 保育園の職員の処遇を守り、保育の質を守るための指導検査体制を充実し、指導を強化すること。
  イ その他
7 白金・白金台地域など交通不便地域の解消策について
  全国各地で、高齢者の外出を支える足の確保が課題になっている。
  群馬県明和町や兵庫県猪名川町では、乗り合い送迎サービス「チョイソコめいわ」(ちょっとそこまでという意味)が、運行している。「ラクシー」という定額制の乗り合いタクシーは、自宅まで迎えに来る。千葉県木更津市では、高齢者をスーパーなどへ送迎する「ふくちゃんバス」の運行を始めた。福岡県福岡市では、高齢者乗車券とタクシー券とを選べる。どれも、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」の実践のひとつ。
  ア 全国で先進的に取り組まれている事業を調べ、白金・白金台地域に合うものを参考に、早急に、とりわけ高齢者の外出を支える足を確保すること。
  イ その他
8 全ての小学校での35人学級の早期実現について
  政府は昨年末、公立小学校での段階的な35人以下学級の導入を決めた。一学級当たりの上限人数の引き下げは40年ぶりと画期的なこと。政府を動かしたのはかつてなく広がった少人数学級の実現を求める声や運動。
  区立小学校1・2年生で35人を超える学級が9クラス。東京都の基準を満たさない詰め込みは大問題。
  ア 区内小学校全ての学年で早急に35人学級を実現するために東京都に教員の増員と教室の確保のための財政措置を求めること。
  イ 区立小学校の学級を増やす対策を早急に講じること。
  ウ その他
9 高輪築堤の完全保存と見学会の開催について
  東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」という。)は、今年1月10日〜12日に高輪築堤の現地見学会を行った。募集定員300名に対し、はがきで1,978枚の応募があるほど、関心を集めた。
  見学会で配られた資料によると、「高輪築堤は、我が国の在来技術と西洋技術の折衷を見ることのできる貴重な鉄道構造物といえます」と記述している。当時の土木技術を知る上で極めて貴重なもの。
  日本考古学協会は、JR東日本、国土交通省、文化庁、港区長・教育長らに、高輪築堤の遺構を現地で全面的に保存するように求める、高輪築堤跡の保存に関する要望書(1月22日付)を提出している。産業遺産学会からも、鉄道遺構「高輪築堤」保存・公開の要望が出されている。
  ア 高輪築堤は国民全体の貴重な財産。区長、教育長連名で完全に発掘し完全保存することをJR東日本に要請すること。併せて、国土交通省や文化庁など関係機関にも要請すること。
  イ 現地見学会を何度も開催するよう、JR東日本に要請すること。
  ウ その他
10 その他