発案15第15号 ディーゼル車対策の充実に関する意見書
港区をはじめとした都心区では、窒素酸化物や粒子状物質による大気汚染が、依然として深刻な状況です。
このような状況の中で、本年十月から「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の規制が強化され、条例で定める粒子状物質排出基準を満たさないディーゼル車は、都内の運行が禁止されます。このため、多くの事業者が、より低公害な自動車への買い替えや、粒子状物質減少装置の装着などの早急な対応を求められています。
しかし、我が国の経済状況は依然として停滞を続け、とりわけ中小零細事業者の経営環境は、かつてないほど厳しい状況にあります。その中で、事業者は懸命にディーゼル車規制に対応すべく努力を重ねています。
港区は、中小事業者を支援するため、本年四月から「港区クリーンカー購入等融資制度」を創設し、事業者の金利負担率〇・一パーセントの低利融資を実施しています。
自動車による大気汚染の根本的な責任は、国の自動車排出ガス対策の怠慢にあります。しかし、自動車メーカーにも、大気汚染度の高い排出ガスを放出するディーゼル車を製造・販売して利益を享受してきたことから、大気汚染の改善のために、事業者のディーゼル車買い替えに協力すべき社会的道義的責任があります。
自動車メーカーは、中小零細事業者がおかれた厳しい状況の中で、ディーゼル車規制に対し社会的責務を果たそうとする懸命の努力と自動車メーカー自らの社会的道義的責任に鑑み、ディーゼル車の販売価格を不当に引き上げるようなことは厳に慎むと共に、早急に窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の両方を低減する後処理装置の開発を行うなど中小零細事業者の負担軽減に最大限の配慮をすべきです。
よって、港区議会は、国会及び政府に対し、自動車メーカーが、社会的道義的責任を積極的に果たすよう指導することを強く求めます。
右、地方自治法第九十九条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成十五年六月二十七日
港区議会議長 佐々木 義信
衆議院議長・参議院議長
内閣総理大臣・総務大臣
経済産業大臣・国土交通大臣
環境大臣 あて