発案16第26号 新潟中越地震被災者の救援と生活再建のための支援の抜本的強化を求める意見書
新潟県中越地方を襲った震度六から七の強い地震と、その後の度重なる余震によって、甚大な被害が発生しています。
新潟県の発表では、十一月二十日までの死者は四十人、重軽傷者は三千人近くです。亡くなった方の半分は、 「地震によるショック死」や避難生活のストレスが引き金になった脳内出血や急性心筋梗塞、肺塞栓症などによるものです。 各地の避難所では、依然として九千人を超える住民が今なお避難生活を余儀なくされ、そのなかにはテントや車で寝泊まりしている住民もいます。 不眠や、不安・恐怖を訴える住民も多く、健康悪化が懸念されます。ところが、それをケアする医療機関自体が今度の地震で大きな痛手を受けており、 医療機関の復興を急がなくてはなりません。
全壊が二千戸を超え、半壊も四千戸を超えるなど、住宅の被害も大きいものです。公共施設、道路、河川などもダメージをうけ、 いまなお崖崩れの危険がある箇所も数多く残されています。
魚沼産コシヒカリ、酒蔵、錦鯉など、日本でも有名な生産地をはじめ、産業が打撃を受けていますし、 震災を理由にして勤務先を解雇される人々も増えています。
このように今回の地震が深刻な被害を及ぼしていることとともに、被災地には独特の条件があることを見る必要があります。 それは、この地域が豪雪地帯であること、それともかかわって、住民は集落ごとのコミュニティで支え合って生活してきていること、 高齢化率が非常に高い、ということです。今回の震災に対しては、これらの独特の条件と実態に即した支援が必要です。
よって港区議会は、政府が、必要とされる支援を、必要とされる規模とスピードでやりきる立場にたって、 次の被災地救援と生活再建のための措置を緊急に講じることを求めるものです。
1 避難生活を余儀なくされている被災者のメンタルヘルスも含めて健康管理に万全を尽くすため、避難所ごとに、医師、看護師、保健師、ヘルパー、カウンセラーなどを常駐配置して、医療・保健態勢を抜本的に強化すること。
2 降雪期が迫っているもとで、希望者全員が入居できるよう仮設住宅をすみやかに設置すること。その際、豪雪に対応できるとともに、地域のコミュニティを壊さないよう配慮すること。
3 被災者生活再建支援法を抜本的に改正し、個人補償の立場で住宅本体の改修・再建に国の支援金が使えるようにし、支給額の引き上げと所得制限の撤廃、全壊と大規模半壊だけから一部損壊も対象にするなど、住宅再建への公的支援を強めること。
4 地元産業を支えている繊維、機械産業、農業、養鯉業、酒造業、観光などの復興に全力をあげること。中小業者・地場産業の復興に、住宅本体の再建への公的支援と同じように、中小企業の事業所が損壊した場合の直接補償をおこない、破壊された農地と農業施設、農業被害への補償も実施し、当座の融資として無担保・無利子で返済期限も長期にするなど改善すること。
5 地域医療の拠点となってきた医療機関の再建に、国の強力な公的援助を行うこと。
右、地方自治法第九十九条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成十六年十二月三日
港区議会議長 佐々木 義信
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣
総務大臣
衆議院議長
内閣官房長官
国土交通大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
参議院議長 あて