発案17第13号 アスベスト対策を求める意見書
アスベスト製品を製造していた事業所の従業員やその家族、周辺住民の間で、中皮腫や肺がんなどアスベストが原因とみられる健康被害が 多数発生していることが全国で報告されています。
また、アスベストを含む電気製品などの家庭用品が、現在もなお19品目製造販売されていることなど、 アスベストに対する国民の不安は高まっています。
政府のアスベスト問題に関する関係閣僚による会合は「アスベスト問題への当面の対応」(平成17年8月26日改訂)を発表しました。 この中で、対策は引き続き各省庁が実施することとしていますが、これまでの省庁間の連携の悪さが多くの被害者を生みだしてきたことを鑑み、 縦割り行政の壁を取り払い、政府が一丸となって、将来を見据えた対策を行うべきです。
また、策定中のアスベスト新法では、時効のため労災認定されない患者やその遺族、 労災補償の対象とならない従業員の家族及び周辺住民等のアスベスト健康被害者の救済を図るとともに、 既存のアスベストの把握・管理・除去・廃棄等に関する現行の諸法令の整合化を図り、総合的な対策を行う必要があります。
よって、港区議会は、政府に対し、アスベストに関する徹底した情報開示、健康対策、今後のアスベスト飛散対策等を推進するなど、 国民の健康と安全を守るため、左記事項の早急な実施を強く求めます。
一 国のアスベスト対策を政府一体となって取り組むこと。
一 あらゆる建築物のアスベスト対策においては、情報開示を行い、曝露防止、解体時の大気環境への飛散防止対策の推進を図ること。
一 建築物の解体、改修等の飛散防止策を円滑に進めるための条件整備として、含有分析や施工等の専門機関及び関連業界の指導、育成を早急に図ること。
一 アスベストを含有する家庭用品については、代替化の促進を行うとともに、アスベスト製品の製造、使用の早期全面禁止に踏み切ること。
一 アスベスト関連疾患の発症に関する研究(発症機序研究)、有効な診断法と治療法を確立すること。
一 時効のため労災認定されない患者やその遺族、労災補償の対象とならない家族曝露や環境曝露による被害者の救済制度を設けること。
一 既存のアスベストに対する総合的な対策を図るための法整備を行うこと。
一 アスベスト対策に係る財政的支援を地方自治体に行うこと。
右、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成17年12月9日
港区議会議長 岸田 東三
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣
総務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣
環境大臣 あて