発案18第14号 子育て環境の抜本的改善と支援策の充実・強化を求める意見書
20代後半から30代にかけて約2700万人を占める「子育て世代」の要求が切実化、顕在化しています。その背景には、少子化が進み、 それに対して国民の多くが不安を抱いているという現実があり、そのため日本の子育て環境の改善が望まれています。
2005年9月に発表された「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(政府の男女共同参画会議・専門調査会)では、 OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで、日本が、労働時間、雇用機会の均等度、地域の子育て環境、家庭内役割分担、 子育て費用、若者の自立可能性などの指標で、低い水準になっています。
1970年代以降、他の主要国では、子育てと仕事が両立可能な社会環境をつくり、女性の労働力率を伸ばしています。 それに対して日本は、70年代以降の女性の労働力率の伸び率はわずかであり、OECDの24国のなかで最小です。 これは日本の子育て環境の厳しさを示すものであり、出生率の低下に歯止めがかからない大きな原因となっています。
さる7月7日、政府はいわゆる「骨太方針2006」を閣議決定しました。 そのなかで「総合的な少子化対策の推進」として「出産前後や乳幼児期において、経済的負担の軽減を含め総合的な対策を講ずる」ことが盛り込まれたことは、 この間、各種調査に示された国民の要望が反映されたものとして評価するものです。
一方、その財源について、社会全体で負担を分かち合う仕組みとして「育児保険」など新たな国民負担を求めていることは、 経済的負担の軽減に逆行するものと言わなければなりません。
よって港区議会は、安心して子どもを産み、育てることのできる社会をつくることは、 日本国民の未来にかかわる大問題であるとの認識のもと、次の事項について国会及び政府に要求します。
一 長時間労働をなくし家庭生活との両立ができる人間らしい労働を確立するとともに、そのための法整備をおこなうこと
一 男女差別・格差をなくし女性が働き続けられる社会を築くこと
一 保育所や学童保育など子育てのための条件整備を進めること
一 子育てに対する経済的支援を抜本的に充実・強化し、とりわけ乳幼児医療費の無料化を国としてすみやかに実施すること
一 半数が非正規雇用といわれる若者の雇用確保と雇用条件の改善に強力に取り組むこと
右、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成18年10月5日
港区議会議長 岸田 東三
内閣総理大臣 内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)
厚生労働大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長 あて