発案22第18号 尖閣諸島海域における中国漁船の領海内での不法操業と海上保安庁船に対する衝突事件への我が国政府の対応に抗議する意見書
違法操業中の中国漁船が、本年9月7日、尖閣諸島の久場島沖の我が国領海内において、退去命令や停船命令を無視し、不法操業し第11管区海上保安本部の巡視船、「よなくに」(PL63)、「みずき」(PS11)に相次いで衝突し、そのまま逃走を図ったため、同本部は公務執行妨害罪の容疑で、同漁船長を逮捕しました。
しかし那覇地方検察庁は、9月24日、送検していた同漁船長を処分保留で釈放しました。これは主権国家、法治国家としての責任を放棄し、また我が国は中国の圧力に屈したとの印象を、国民のみならず国際社会にも与えかねず、極めて憂慮すべき事態であります。また、外交上重大な影響を及ぼしかねない釈放の決定を、一地検が判断したことは、まさに政治不在であり看過できません。
尖閣諸島は、日本政府が何度も現地調査を行ったうえで、明治28年(1895年)1月14日の閣議決定によって日本領に編入したもので、尖閣諸島に対する最初の領有行為です。
大正8年(1919年)には、中国福建省の漁民が魚釣島付近で遭難し、同島に避難した31人を住民が救助し、全員を中国に送還しました。
この救援活動に対し、中華民国の長崎駐在領事から大正9年(1920年)5月20日に感謝状が届けられました。感謝状の中には、尖閣諸島がはっきり、日本の領土として記述されていました。中国側は、尖閣諸島の領有権を主張していますが、その最大の問題点は、中国が明治28年(1895年)から昭和45年(1970年)までの75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議も行っていないという事実であります。このことは日本の領有が国際法上、正当なものである決定的な論拠となるのです。
今後、中国が尖閣諸島及び周辺海域の領有権を強硬に主張し、中国漁船が尖閣諸島周辺海域で操業することが予想されます。その場合、我が国漁船と中国漁船との間で操業をめぐりトラブルが発生したり、衝突事件が再発するなど、安全な航行が阻害され、ひいては我が国の領域保全が脅かされかねないことを、港区民のみならず多くの国民が不安を感じているところです。
よって、港区議会は、国民の生命、人権、財産、安全、そして領土・領海を守るため、今回の政府の措置に強く抗議すると共に、次の事項が速やかに実現されるよう強く要請します。
1 尖閣諸島及び周辺海域が我が国固有の領土及び領海であることを、歴史的事実と法の道理に則して、中国政府及び国際社会に堂々と主張する外交努力を強めること。
2 尖閣諸島周辺海域において、我が国の漁業者が自由かつ安全に操業・航行できるよう適切な措置を講じること。
3 日中両政府は、冷静な外交を通し再発防止策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成22年10月8日
港区議会議長 島田 幸雄
内閣総理大臣
外務大臣
国土交通大臣
沖縄及び北方対策担当大臣
検事総長 あて