発案26第6号 地方税財源の拡充に関する意見書
住民福祉の増進等に責任を負う地方自治体においては、地方がその責任と権限に応じた役割を果たせるよう、地方税財源の拡充を図る必要があります。
しかし、国は、平成26年度税制改正において、地方法人特別税・地方法人特別譲与税を廃止しないだけでなく、地方の貴重な自主財源である法人住民税の国税化を新たに導入し、消費税率の10パーセントへの引上げ時には、法人住民税の国税化をさらに進めるとしました。
こうした措置は、地方税財源の拡充につながらず、地方の自立そのものを妨げ、地方分権の流れに逆行するものであります。併せて、来年度からは法人実効税率の引下げが予定されており、地方税財政への影響が強く懸念されています。
港区には、住民の暮らしや企業活動を支えるため、急激に押し寄せる高齢化への対応や保育所待機児童の解消、高度成長期に全国に先駆けて建設された公共施設の維持・更新・防災力の強化、産業振興対策など、大都市特有の膨大な財政需要が存在しており、税収の多さのみに着目して、財政的に裕福であると断ずることは適当ではありません。
地方自治体が責任を持って充実した住民サービスを提供していくためには、需要に見合う財源の確保が不可欠であり、地方財政が抱える巨額の財源不足という問題は、限られた地方税財源の中での財源調整では根本的な解決を図ることはできません。
よって、港区議会は、政府に対し、全ての地方自治体の歳入に影響を及ぼさないよう万全の対応を行うとともに、地方税の根本原則をゆがめる地方法人特別税・地方法人特別譲与税と法人住民税の国税化を直ちに撤廃して地方税として復元し、地方が担う権限と責任に見合う地方税財源の拡充という本質的な問題に取り組むよう強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成26年10月9日
港区議会議長 井筒 宣弘
内閣総理大臣
総務大臣 あて