発案30第6号 認知症施策の推進を求める意見書
世界に類例を見ないスピードで高齢化が進む我が国において、認知症の人は年々増え続けています。
2015年に推計で約525万人であったものが、2025年には推計で700万人を突破すると見込まれています。
認知症は、今や誰でも発症する可能性があり、誰もが介護者となり得るため、認知症施策の推進は極めて重要です。
また、認知症施策の推進にあたっては、認知症と診断されても、尊厳をもって生きることができる社会の実現を目指し、当事者の意思を大切にし、家族等も寄り添っていく姿勢で臨むことが重要であるとともに、「若年性認知症」など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込んで行く必要があります。
さらに、認知症施策に関する課題は、今や医療・介護だけでなく、地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっています。
よって、港区議会は政府に対し、認知症施策のさらなる充実、加速化を目指し、基本法の制定も視野に入れた、下記の事項に取り組むことを強く求めるものです。
記
1 国や自治体をはじめ企業や地域が力を合わせ、認知症の人やその家族を支える社会を構築するため、認知症の早期発見・診断、初期の相談と家族への支援から、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく支援を行う認知症施策を総合的かつ計画的に推進する基本法を制定すること。
2 認知症診断直後は、相談できる人がいないといった人が多く存在しており、診断直後の空白期間が生じている。この空白期間については、本人が必要とする支援や情報につながることができるよう、「認知症地域支援体制づくりガイド」や認知症サポーターの活用による支援体制の構築を図ること。
3 若年性認知症の支援については、若年性認知症支援コーディネーターの効果的・効率的な活動を推進するため、コーディネーターに対する研修など支援体制を整備するとともに、本人の状態に応じた就労継続や社会参加ができる環境の整備を進めること。
4 認知症の全国規模の疫学調査と疾患登録に基づくビッグデータの活用を通し、有効な予防法や行動・心理症状に対する適切な対応など認知症施策の推進に取り組むこと。また、次世代認知症治療薬の開発・早期実用化や最先端の技術を活用した早期診断法の研究開発を進めるとともに、認知症の人の心身の特性に応じたリハビリや介護方法に関する研究を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出いたします。
平成30年12月7日
港区議会議長 池 田 こうじ
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて