発案元第12号 高齢者の安全運転支援と移動手段の確保を求める意見書
本年4月19日、豊島区で87歳の高齢者が運転する車が暴走し、母子2人が亡くなった事故が発生しましたが、この事故以降も高齢運転者による事故が続いています。
近年、交通事故の発生件数は減少傾向にありますが、75歳以上の高齢運転者による死亡事故の割合は高まっています。
警察庁は、昨年末時点で約563万人いる75歳以上の運転免許保有者が、2022年には100万人増えて663万人に膨らむと推計しています。
国は、2017年施行の改正道路交通法で、75歳以上の運転免許保持者は違反時や免許更新時に認知機能検査を受けることを義務付けましたが、いまや高齢運転者の安全対策及び安全運転支援の取り組みは待ったなしの課題です。
また、過疎地域を中心に、未だ「生活の足」として車が欠かせない高齢者も多い中、自主的に運転免許を返納した場合などの地域における移動手段の確保も重要な取り組みです。
よって、港区議会は政府に対し、地方自治体や民間事業者とも連携しながら、総合的な事故防止策としての高齢運転者の安全運転支援と地域における移動手段の確保を進めるため、下記の事項について早急に取り組むことを強く求めるものであります。
記
1 自動ブレーキやペダル踏み間違い時の急加速を防ぐ機能など、ドライバーの安全運転を支援する装置を搭載した「安全運転サポート車」や、東京都が緊急対策として東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金を開始しましたが、国において後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置の普及を一層加速させるとともに、高齢者を対象とした購入支援策を検討すること。
2 免許を自主返納した高齢者が日々の買い物や通院などに困らないよう、コミュニティバスやデマンド型乗合タクシーの導入など、地域公共交通ネットワークの更なる充実を図ること。また、地方自治体などが行う、運転免許の自主返納時におけるタクシーや公共交通機関の割引制度などを支援すること。
3 運転免許更新時に、運転技術を自覚できる効果的な実地試験の導入を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和元年10月10日
港区議会議長 二 島 豊 司
内閣総理大臣
国土交通大臣
経済産業大臣
総務大臣
国家公安委員長 あて