録画内容:
令和6年第1回定例会
令和6年2月15日 (本会議)
代表質問 さいき 陽平(みなと未来会議)
1 区政運営について
 ⑴ 区長のリーダーシップについて
   国の動向を待つだけでなく、東京都の小池知事や、兵庫県明石市の泉前市長、品川区の森沢区長、渋谷区の長谷部区長など自治体のトップが先駆的な施策を実施し、国をリードする事例も多く見られる時代となった。港区は1,800ある自治体の中でも財政力が豊かで、日本経済の中心にある特別な自治体である。そんな港区こそ、国をリードするような先駆的な施策を行うリーダーシップが求められる時代となったと考える。区長の見解は。
 ⑵ その他
2 政策イノベーションを生み出す区役所への変革について
 ⑴ 執行体制について
   「簡素で効率的な執行体制」から「ゆとりある執行体制」へ転換する必要があると考える。港区の人口は2010年から約10年間で6万人以上増えており、今後も増え続けると予想されている。一方で港区の常勤職員数は10年間で2,192人から2,213人とほぼ変わっていない。これでは通常業務への対応が精一杯で、政策イノベーションどころではないのではないか。区長の見解は。
 ⑵ 組織の多様性確保及び女性の登用について
   政策イノベーションを生み出すためには、区役所の多様性が重要である。その指標の一つが、女性の幹部比率であるが、港区の部長級21人の中で、女性はわずか3人しかいない。比率に換算すると、15%すら下回っている。区議会議員の4割以上が女性である状況とは対照的な状況だ。港区役所の女性の幹部比率が低い現状についての受け止めと今後の取組について区長の見解は。
 ⑶ モチベーションマネジメントについて
   政策イノベーションを生み出すためには、区職員の就労環境への満足度やモチベーションが重要だと考える。大阪府・四條畷(しじょうなわて)市も導入している、モチベーションマネジメントツールを導入し、区職員のやりがいの創出に取り組む考えがあるか、区長の見解は。
 ⑷ 職員提案制度の創設について
   品川区の森沢区長は今年度より職員自ら区長に政策プレゼンテーションを行い、液体ミルクの自動販売機やおむつ処理機の区有施設への設置など9つの事業が採用され、実際に予算編成に盛り込んだ。職員の政策イノベーションの立案力と立案意欲を引き出す画期的な政策の手法の一つだと考える。職員提案制度を創設する考えがあるか、区長の見解は。
 ⑸ 国家戦略特区の活用について
   茨城県つくば市は「政策イノベーション部」を設置し、市行政の総合的な企画、政策 の総合調整、行政経営、情報政策、国際戦略総合特区及び科学技術政策に関することなどを統合的に立案する部署を設けている。一方、港区では国家戦略特区などを活用する機運に乏しい。現状の受け止めと今後の取組について、区長の見解は。
 ⑹ その他
3 デジタル行政について
 ⑴ 港区におけるデジタル行政の現状について
   政策イノベーションを生み出すための重要なキーワードは「デジタル化」である。デジタル行政が区民に浸透しているかの一つの指標となるのが、区の公式LINEの人口当たりの登録率である。渋谷区の登録率は、33.7%に上る一方で、港区は10.4%と3分の1以下にとどまっている。このような港区のデジタル行政の現状についての受け止めと、今後の取組に関する区長の見解は。
 ⑵ 区の公式LINEの現状と今後の取組について
   渋谷区は平成28年に、LINEヤフー株式会社と「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を締結し、民間企業出身の長谷部区長の下、デジタル行政実現に向けて取り組んでいる。住民票の写しや印鑑証明書などをLINE上のトークのやり取りだけ簡単に申請できるだけでなく、区の計画に対するパブリックコメントまでもがLINEの中で行うことができるようになっている。港区長選挙の20代の投票率が18.86%という深刻な数値にも象徴されるように、区政の若者離れ、消防団員の若手不足、町会の若手会員の不足などが、港区の大きな課題となっている。そんな中で、公式LINEを活用し、若者も巻き込んだ今後のデジタル行政サービス充実をどのように図っていくのか、区長の見解は。
 ⑶ デジタル政策監の登用について
   デジタル政策を力強く推進している東京都では、LINEヤフー株式会社の元社長である宮坂学氏を副知事に登用している。デジタル政策の専任ポストを設け、官民問わず、デジタル政策に精通した人材を登用すべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑷ GovTech東京との連携について
   東京都の小池知事は「GovTech東京」を設置し、東京全体のデジタル化を図るべく、従来の都庁のデジタル化から領域を広げ、様々な自治体と共同体制で進める事業を開始した。自治体システムのデジタル化から人材の育成・派遣まで、自治体のニーズに応じてデジタル化にまつわる幅広いサービスを提供している。GovTech東京と今後どのように連携しながらデジタル改革を進めていくのか、区長の見解は。
 ⑸ その他
4 港区の2,000億円の基金の在り方について
 ⑴ 公金管理の在り方について
   港区は黒字が続き、2,000億円もの基金、言わば区の貯金がたまっている状況にある。そのうち、1,000億円を債券で運用しているが、保有しているのは「道路債」と呼ばれる債券が大半で、利回りはわずか「0.1%」にとどまっている。一方で、大分県国東市では、運用方針を見直し、0.2%だった利回りを1.9%(平成25年、直近は1.2%など)にまで劇的に改善させている。1,000億円の債券の利回りが2%確保できれば、毎年20億円の自主財源が生み出される。こうした検討会議が年3回しか開かれる予定にないのは大きな問題ではないか。区民の貴重な財産に関わる話だからこそ、港区運用利回りの改善やリスクマネジメント体制など、今後の公金管理の在り方について、より時間をかけて検討を深めるべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑵ その他
5 事業を総点検し、税金の無駄遣いがないか検証することについて
 ⑴ 事業評価と施策の総点検及び予算への反映について
   品川区では、区の全665事業について事務事業評価をし、費用対効果などの観点から一部の事業・施策を見直して予算を縮小した。森沢区長は総予算の1%である20億円を捻出するように指示し、今年度の予算で実際に23億円を削減し、区民アンケートで要望された新規事業の財源に充てた。このように事業の総点検と見直しを行うリーダーシップを発揮し、無駄を徹底的に削減し、それを区民に還元すべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑵ その他
6 少子化対策について
 ⑴ 希望する誰もが子どもを産み、育てられる社会を目指すことについて
   「令和5年度子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究」によって、港区在住の20歳から49歳の女性844人から回答を受け取り、港区の理想子ども数が既婚者で2.26人、未婚者で1.96人ということが分かった。ただ、港区の最新の出生率は1.27人にとどまっている。
   「希望する誰もが子どもを産み、育てられる社会」を言葉だけのスローガンではなく、現実のものに変えていくために、希望する子どもの数と実際に子どもを持つ数に大きなギャップがあることについてどのように捉え、具体的にどのような対策を講じていくか、区長の見解は。
 ⑵ その他
7 子育て政策について
 ⑴ 給食費の無償化について
   東京都が給食費無償化の費用のうち2分の1を助成する制度を創設する方針を示した。これによって、港区は新たに東京都から3.6億円の財源を得ることができるようになる。また、給食に関して、質の向上のための食材費向上などの施策は、無償化以前は保護者の負担との兼ね合いから難易度があった。無償化が実現した今こそ、質の向上により力を入れて取り組むべきだ。東京都から助成される財源も活用しながら、給食の質の向上などにも取り組んでいくべきと考えるが、区の見解は。
 ⑵ 学用品無償化について
   出産前後の援助については手厚くなっているが、子どもの成長とともにかかる費用も増えるため、子育て支援も段階的に手厚くなってほしいという声がある。品川区では所得制限なしで区立小・中学生の学用品の無償化(予算:5.5億円)を今年度の予算編成に組み込んだ。港区も品川区に遅れを取らないよう、学用品無償化をすることで子育て世帯の負担を減らすべきと考えるが、区の見解は。
 ⑶ 生活保護世帯の大学進学支援について
   現行制度では生活保護を受けながらの通学は認められず、進学する場合は、生活保護の対象から外す「世帯分離」の手続が必要になる。世帯分離をすると、学生はアルバイトで生活費などを賄わなければならず、進学を断念する要因になっていると指摘されている。そこで世田谷区は2024年度から、大学などに通う区内の生活保護世帯出身の学生に毎年最大50万円の学費を給付する(予算:3,180万円)と発表し、成績要件を設けずに生活保護世帯を対象に大学進学などを支援する都内初の事業を打ち出した。港区もこれにならって、区内の生活保護世帯の学生に対する大学進学支援を行うべきと考えるが、区の見解は。
 ⑷ その他
8 国際教育について
 ⑴ 海外修学旅行事業について
   海外修学旅行事業を通じて、「次世代を担う港区の子どもたちが異文化に興味を持ち、世界に羽ばたくための環境をつくりたい」と区長は述べている。海外修学旅行というやり方が本当に適切なのでしょうか。修学旅行は日本人同士のグループで行動し、日本語で話すことも多くなることが懸念される。一方で、この事業立案の起点ともなった海外派遣事業(オーストラリア)は8泊9日のホームステイ形式である。英語を実際に話す機会の創出では、この方式の方が優れていると考える。事業費は3.7億円、一人当たり40万円の税金の負担が生じる事業である以上、その成果にこだわる必要がある。海外修学旅行事業を、希望する全ての学生がホームステイ型の海外派遣事業に参加できるような方式に変更すべきと考えるが、区の見解は。
 ⑵ 英会話アプリの導入について
   全国学力テストで、英語を「話す」の正答率が他の英語の技能と比べて低いことからも分かるように、「話す」力の育成が遅れている。一方で、「話す力」を教員1人で対応することは難しいことは言うまでもない。そこで注目されているのが、WorldClassroomという音声認識技術等を用いたスピーキング練習機能や海外の学校との国際交流機能が実装された英語教育DXシステムだ。経済産業省のEdTechツールとして認定されている。
   2023年度は全国の中学校、高校33校、約15,000名に導入され英語の授業の帯学習やパフォーマンステスト、宿題・課題など様々なシーンで活用されている。新学習指導要領で重視されている「生徒の英語学習への主体性や学習意欲」や、教員の働き方改革が必要とされる中で「個別最適化された教科指導・業務効率化」への高い効果が出ている。日常の英会話の授業の中において、こうした英会話アプリの導入などの取組を行うべきと考えるが、区の見解は。
 ⑶ その他
9 首都直下地震に対する万全の備えについて
 ⑴ 町会・自治会への支援について
   町会・自治会は防災の要である。ただ、町会長・自治会長のなり手不足も指摘されている。町会長や会長経験者からは、時間的負担だけでなく、町会の会合の後の懇親会などの経済的負担などがある中でも、「地域のため」にという強い思いで役割を引き受けているが、区の支援体制が十分でない、という声がある。町会・自治会長への感謝の意を込めた電子商品券の配布や感謝状などの贈呈をすべきであると考える。区長の見解は。
 ⑵ マンション自治会について
   住宅の約87%がマンションである港区において、マンション防災は災害対策の要である。しかし、マンション自治会の設立は、4分の3以上の世帯が加入していること、500以上の世帯がある場合は375以上の世帯が加入していること、既に届け出されている町会・自治会から独立する場合は当該町会・自治会の了解が得られていることなどが条件になり、助成要件に厳しいハードルがある。住民間のコミュニケーションが取りやすくなることや、避難体制や備蓄物資の準備など防災の観点からも重要であるマンション自治会の設立要件を緩和すべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑶ ペットとの避難について
   災害に応じて避難可能場所が変わることを理由に、一部のペットとの同行避難可能施設のみがホームページで公開されている。また、同行避難可能施設を記載したマップの配布なども行うべきと考えるが、ペットと同行避難可能な施設の周知についてどのように考えているのか、区長の見解は。
 ⑷ ペットとの同室避難について
   ペットとの同行避難は認められても、同室避難は現状認められていないが、災害時の不安定な状況のなかで、ペットや飼い主の精神的な安定を図れる同室避難の可能性について検討を深めるべきと考える。区長の見解は。
 ⑸ 災害時のペットケアの充実について
   獣医師会には所属していないものの、災害時のペットケアに協力的な獣医師の方々にも協力を得られる仕組みを作るなど、災害時のペットのケアの充実を図る必要があると考える。区長の見解は。
 ⑹ 職員住宅について
   災害時の基本方針。防災課は災害応急対応業務に必要な人数を285人と算定しているが、災害対策に緊急出動できる職員住宅の数は、入居率や参集可能な人数を割り出したところ、約30人分が足りていない現状にある。自然災害は、まさに時を選んでくれない。いつ何時、万が一の事態が起きても対応できるよう、災害対応に当たる職員住宅の確保を進めるべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑺ その他
10 羽田新ルート固定化回避の実現について
 ⑴ 羽田新ルート固定化回避の実現について
   昨年の秋までに開くとされていた第6回の検討会が開かれていないことに対して、区長、議長が国土交通省に申し入れをしたと聞いている。第6回の検討会は固定化回避の新飛行方式の検証などがなされた「技術素案(仮)」が示される極めて重要な会合である。都心上空ルートの課題解決を望む区民にとって、説明を果たす責任が国にはある。申し入れの結果も踏まえながら、国に対し、固定化回避と住民への説明の早期実現をどのように求めていくのかについて、区長の見解は。
 ⑵ その他
11 LGBT政策について
 ⑴ 多様性政策について
   「二十歳の集い」に参加させていただいた際、区長は二十歳の皆さんへの言葉として「障害の有無、国籍、性別、性的指向などにこだわらず、誰もが互いを尊重し合い、支え合える地域共生社会を目指していきたい」と仰っていた。武井区長の細やかな支援、区民に寄り添い続けてこられた姿勢が現れた瞬間の一つだったと感じている。港区には、男女平等参画センター「リーブラ」がある。そうした拠点をさらに支援・拡充・活用しながら、「違いを力に変えていく」、そうした施策に対する意気込みについて伺う。
 ⑵ プライドパレードについて
   特定NPO法人「東京レインボープライド」は「らしく、たのしく、ほこらしく」をテーマに、性的指向及び性自認に関わらず、全ての人が、より自分らしく誇りを持って、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現を目指している。その主たる事業として開催されているのが、毎年4月のプライドパレードだ。渋谷区は、このイベントに後援をしており、ブースを出展するなどして協力している。またプライドパレードは、昨年は23万人が動員され、世界の類似イベントは観光資源としても大きな注目を集めている。こうしたプライドパレードを隣接区でもある港区も連携し、支援すべきと考えるが、区長の見解は。
 ⑶ その他
12 その他